腰椎分離症(分離すべり症)について

参照元:医療法人社団 親和会 京都木原病院

腰椎分離症(分離すべり症)ってなに?

腰椎すべり症は、積み木のように連なった腰椎が前方に滑り出し、さまざまな症状を引き起こす病気です。


腰椎すべり症の種類

  1. 腰椎分離すべり症
    • 背骨の本体である「椎体」と、後ろ側で関節を構成する「椎弓」が分離してしまった状態を指します(腰椎分離症)。
    • 分離した部分が不安定になることで、上下の骨がずれ(すべり)を生じます。
    • 特徴:分離症が根本にあり、そこからすべり症へ移行するケース。
  2. 腰椎変性すべり症
    • 明確な原因は不明ですが、加齢による腰椎の変性が主な要因と考えられています。
    • 高齢の女性に多く見られ、椎間板や靭帯、関節の変性によって腰椎が不安定になり、ずれが生じます。
    • 特徴:長期間の負荷や加齢による変性が原因。

好発部位と共通点

  • 4番目の腰椎で発症しやすい。
  • 原因は異なりますが、両タイプともに出現する症状に大きな違いはありません

腰椎すべり症は早期の診断と適切な対応が重要です。症状が気になる場合は、専門医に相談してみましょう。

腰椎分離(すべり)症の症状は?

主な症状

  1. 腰痛
    腰椎の不安定さによる痛みが初期症状として現れます。
  2. 坐骨神経痛
    腰椎のずれが進行すると、神経が圧迫され、お尻から脚にかけての痛みやしびれが起こります。

すべりが強度になると

  • 腰椎の後方を通る脊髄神経が圧迫され、以下の症状が出ることがあります:
    • 下半身の痛み
    • しびれ

間欠性跛行

  • 長距離を歩くと痛みやしびれが現れ、前かがみの姿勢で楽になる症状です。
  • 分離すべり症と変性すべり症のどちらにも見られる特徴的な症状です。

共通点

分離すべり症も変性すべり症も、脊髄神経の圧迫が主な原因となるため、症状に大きな違いはありません。

症状が進行する前に適切な診断と治療を受けることが大切です。

腰椎分離(すべり)症の治療法

保存療法が第一選択

腰椎分離すべり症の治療では、外科的治療を行わずに症状を緩和する保存療法が一般的に選ばれます。


主な保存療法

  1. コルセットやベルトの使用
    • 腰への負担を軽減し、安定性を保つために使用します。
    • 日常生活での支障を減らす効果があります。
  2. 薬物療法
    • 消炎鎮痛剤や湿布で炎症や痛みを抑えます。
    • 痛みが強い場合は、ブロック注射を行うこともあります。
  3. リハビリテーション
    • 腰部周囲の筋力訓練ストレッチを組み合わせて、腰椎を支える筋肉を強化します。
    • 症状が落ち着いてきた場合は、リハビリを継続して症状の安定化を図ります。

手術療法が必要なケース

以下の場合、手術療法が検討されます。

  • 痛みやしびれが強くなり、保存療法では改善しない場合
  • 足が動かなくなったり、感覚が失われる麻痺症状が出現した場合

症状の進行具合によって治療方法が変わります。適切な診断と治療で、症状を早期に緩和させることが重要です。

腰椎分離(すべり)症の対処法

腰椎分離すべり症の痛みを軽減する姿勢と注意点


痛みが続く原因

腰椎が前方に滑っている状態では、そのままの姿勢を保つことで痛みが増すことがあります。特に立位で長時間過ごすと、脊髄神経にストレスがかかり続けてしまいます。


痛みを軽減する体勢

  • 椅子に座る
    立位の負担を減らし、神経への圧迫を和らげます。
  • 背中を丸める
    背中を軽く丸める体勢を取ることで、腰椎への圧力が軽減されます。

注意点

  • 腰を反らせる(後屈)動作を避ける
    腰を反らせる動作は、状態によっては痛みを悪化させる可能性があります。
  • 無理に良い姿勢を保とうとしない
    無理な姿勢維持は症状を悪化させる可能性があるため、痛みを感じない自然な体勢を心掛けてください。

適切な姿勢の調整で神経への負担を軽減し、症状の悪化を防ぎましょう。

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