腰部脊柱管狭窄症ってなに?

参照元:社会福祉法人 恩賜財団 済生会

腰部脊柱管狭窄症とは何?

脊柱管狭窄症とは?

体の中心にある背骨は、首から腰まで続いており、脳から伸びる脊髄という神経が通るトンネルの役割を果たしています。このトンネルを脊柱管と呼びます。


脊柱管狭窄症の原因と症状

脊柱管狭窄症は、以下の原因によって脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫されることで発症します。

  • 骨や靭帯の肥厚
  • 椎間板の突出

これにより、以下の症状が現れます。

  • 腰の痛み
  • 脚のしびれ

特徴

  • 加齢による変性が原因
    加齢により骨や靭帯が変化するため、50代以降の高齢者に多く見られます。
  • 椎間板ヘルニアとは異なる傾向
    若年層に多い椎間板ヘルニアとは対照的に、高齢者に発症しやすいのが特徴です。
  • 間欠性跛行(かんけつせいはこう)
    長時間歩くと症状が悪化し、休憩するとまた歩けるようになるという典型的な症状があります。
  • 自転車では症状が出にくい
    自転車に乗る際は前かがみの姿勢になるため、神経への圧迫が軽減され、症状が和らぎます。

脊柱管狭窄症は、適切な診断とケアで生活の質を向上させることが可能です。
症状を感じたら、早めに専門医に相談しましょう。

脊柱管狭窄症の症状は?

脊柱管狭窄症の症状と診断のポイント


主な症状

  • 立っている時や歩行時に現れる臀部痛や下肢痛
    歩くと疼痛が強まり、休息すると再び歩けるようになる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が特徴的です。
  • 姿勢による症状の違い
    脊柱管狭窄症では、前かがみになることで症状が和らぎます。

神経の障害タイプ

脊柱管狭窄症には、以下のようなタイプがあります。

  1. 馬尾神経の障害(骨盤付近の神経が影響を受ける場合)
  2. 神経根の障害(脊柱から分岐する神経に影響が出る場合)
  3. 両方が混合している場合

似た症状との違い:末梢動脈疾患との比較

  • 末梢動脈疾患:立ち止まるだけで症状が改善します。
  • 脊柱管狭窄症前かがみになるなど姿勢を変える必要がある点が異なります。

脊柱管狭窄症の診断基準(腰部脊柱管狭窄症診療ガイドラインより)

  1. お尻から足にかけて痛みやしびれがある
  2. 立つ・歩く動作で症状が強くなり、前かがみや座っていると楽になる
  3. 症状が腰部に限局している場合は、他の疾患の可能性が高い
  4. 症状とMRIなどの画像検査結果が一致している

脊柱管狭窄症の診断には、症状の特徴を正確に把握し、画像検査の結果と照らし合わせることが重要です。症状が気になる場合は、早めに整形外科を受診してみてください。

腰部脊柱管狭窄症で手術はあるの?

手術が必要になる症状

以下のような症状がある場合、早急な手術が必要です。

  • 排尿障害(尿漏れや尿が排出できない)
  • 排便障害
  • 進行する筋力低下

これらは神経が深刻なダメージを受けている可能性があり、放置すると手術をしても元に戻らないことがあります。


日常生活に支障がある場合

手術が必要となるケースの多くは、以下のような状態です。

  • 痛みで長時間歩けない
  • ほとんど歩行ができない

これらの症状が続き、他の治療法で改善しない場合、手術が選択されます。


手術後の注意点

手術で直接的な負担を取り除くことはできますが、以下に注意が必要です。

  • 完全に元通りになる保証はない
    手術後も、症状が完全に消えるとは限りません。
  • 生活習慣の見直しが重要
    手術の原因となった生活習慣や体への負担を改善しないと、再発の可能性があります。

正しいリハビリの重要性

手術後は、リハビリを継続して行い、筋力や柔軟性を取り戻すことが再発防止に繋がります。

手術とリハビリを組み合わせた治療が望ましいと言えるでしょう。

腰部脊柱管狭窄症の対処法

前述したとおり、手術が必要なケースと軽度症状の対応


手術を行うケース

以下の症状がある場合、早急に手術を行います。

  • 排尿障害(尿が漏れる、または出せない)
  • 排便障害
  • 進行する筋力低下

軽度症状の場合

以下のような軽度の症状であれば、手術は不要でリハビリを中心に行います

  1. 10分以上歩ける(500メートル程度)
  2. 前かがみの姿勢で休むと楽になる
  3. 痛みが出たり引いたりする状態

自宅でできるお勧めエクササイズ

エクササイズ1:

エクササイズ2:


注意

リハビリは無理のない範囲で行い、痛みが強くなった場合は中止し、専門家に相談してください。継続することで腰への負担を減らし、症状の改善を目指しましょう。